歴史問題がきっかけで冷え込んだ日韓関係は、新しい大統領のもとでどうなるのでしょうか。その歴史問題をめぐり韓国で論争となっていたあるモノが再び、注目されています。

記者
「後ろに広がる小高い丘、上空から見てみると前が四角で後ろが丸い日本の古代の墓・前方後円墳と同じ形をしています」

全長およそ80メートルの「長鼓峰古墳」。5世紀終わりから6世紀初めに作られたこの前方後円墳があるのは、海沿いにある韓国南西部・全羅南道の海南郡です。

日本固有とされる前方後円墳がなぜ韓国にも存在するのか、そして埋葬されているのは誰か、論争が続き、また反日感情などを背景に解明も進んでいませんでした。

日本への留学経験があり、長年、前方後円墳を研究してきた朴天秀教授は・・・

慶北大学 朴天秀教授
「倭人(日本人)で、その出身は石室の形態から見ると福岡」

埋葬者は、福岡出身の人物だといいます。

古墳内部で去年初めて行われた本格的な調査。赤く塗られた石室を見た朴教授は、同じ構造を持つ前方後円墳がある福岡県から来た豪族が埋葬されたとの見方を示しています。

実は、韓国南西部には十数基の前方後円墳が見つかっていますが、調査は進んでいませんでした。理由は「古代に朝鮮半島南部を日本が支配していた」とする学説の証拠となることを恐れたためとみられます。

30年ほど前、国立博物館が調査していましたがその際には報告書も作成されなかったということです。

慶北大学 朴天秀教授
「非常に拒否感があるわけですね。もしかしたら日本のこれまでの解釈に有利な資料が見つかったらどうするのと、そのような被害意識もあった」

しかし最近、韓国内の雰囲気も変化。2番目に大きい前方後円墳でも先月、一部を試掘する調査が行われました。

全南文化財研究所 イ・ボムギ所長
「熱い問題になっている、古代の日韓関係に関する証拠とか、歴史的な遺物が出てきて明確な事実関係が明らかになることを願う」

去年も高速道路の建設中、前方後円墳が発見され、工事はストップし工期を2年遅らせ道路を迂回させる措置がとられ古墳は保存されることが決まったということです。

文在寅政権下で元徴用工や元慰安婦をめぐる歴史問題で悪化の一途となった日韓関係。

朴教授は、活発に交流してきた歴史を見つめ直すことが大事だと指摘しました。

慶北大学 朴天秀教授
「近現代の悪い話ばかり強調して歴史をわい曲する。それは非常にダメではないかと思う。古代から我々が教わることはかなりある」

尹錫悦次期大統領
「過去よりは未来に向けて何が両国民の利益になるのか、それを私たちがよく探していくことが重要だと考える」

選挙戦で「文在寅政権が日韓関係を政治利用した」と批判を繰り返してきた尹錫悦次期大統領。当選後の会見で、日韓関係について「未来」という言葉を何度も口にしました。日韓の歴史問題という早期に解決されるべきだった難問に尹次期大統領がどう取り組んでいくのか、その手腕が問われます。
(15日17:01)

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