東京・武蔵野市で、外国人にも住民投票への参加を認める条例案の審議が始まりました。市民から賛成の声が集まる一方で、一部の国会議員やSNS上では反対運動も熱を帯びています。

 東京・武蔵野市にあるレストラン。ここで働くネパール人のパウデルさんは10年前に妻と共に来日し、2人の子どもは日本で生まれました。

ネパール人 パウデルさん
 「子ども達も小さいんですけど、日本の学校に通わせたりとか、僕は将来的に日本で永住して、長く日本に住みたいと思っている」

 武蔵野市では外国籍の市民にも日本国籍の市民と同様に住民投票への参加を認める条例案が議会に提出され、13日、審議が始まりました。

松下玲子武蔵野市長
 「やはり多様性を力に変えて、多文化共生社会を実現していく。重要な課題について意見を表明する機会は、国籍にかかわらず、制度として設けていく」

 条例案では、3か月以上市内に住んでいる18歳以上の人は、国籍にかかわらず、住民投票の資格を持つことができます。

ネパール人 パウデルさん
 「(Q.住民投票に参加したい?)もちろん思います。今まで言えなかった自分の意見があって、日本人と一緒に暮らして、社会にある問題を一緒に解決していきたい」

武蔵野市民
 「一緒に住んでいるわけだから、住民のいろんな問題を決めるのに参加しても良いんじゃないかな」
 「お互いに文化とか歴史を持っている。そこから学ぶことも多いと思う」
 「反対です・・・。もうちょっと長くいらして、日本をよく知ってからなら」

 市が実施したアンケートでは、回答した市民の73%が外国籍市民の住民投票参加に賛成しています。その一方で・・・

自民党 佐藤正久参院議員のツイッター
 「中国からすれば格好の的。8万人の中国人を日本国内から転居させる事も可能」

 自民党の一部の国会議員らは、外国人参政権につながりかねないなどとして、条例案への反対運動を進めています。

自民党 青山繁晴参院議員(先月)
 「国民国家という気持ちが私たちの中で失われてきたんじゃないか」

さらに、ネット上では・・・

 「反日の街 武蔵野市を作ってはならない」
 「外国人による支配を促す危険な罠」

 条例の反対にとどまらず、外国人差別を煽るような投稿も相次ぐ状況に、SNSと政治に詳しい専門家は・・・

西田亮介東京工業大学准教授
 「世界でも外国人に対する排斥運動・分断が起きている。なるほど、国会議員が発言しているのだからきっとそうなのだろうと思う人達が出てくる」

 条例案に反対する自民党市議も困惑しています。

小美濃安弘武蔵野市議
 「結構、荒唐無稽なことを仰っている方も。何十万人も武蔵野市に住民登録されて、武蔵野市が乗っ取られてしまうんじゃないかみたいな・・・」

 武蔵野市で日本人と共生してきた外国人も不安を募らせます。

ネパール人 パウデルさん
 「いまの日本の社会はすごく優しい、住みやすいって思っているんですけど、(差別や偏見が)段々ひどくなるんじゃないかなと思っちゃう。心配ですね」
(13日17:22)

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