【老人ホームで入居者に殺害された母】事件当時に1人で夜勤 2週間前にも暴力沙汰 安全対策は十分だったのか・・・遺族が施設側を提訴

おととし11月、大阪市平野区の老人ホームで女性職員が殺害された事件。施設が十分な安全対策を取っていなかったとして2日、遺族が施設側を提訴しました。事件は防げたのではないか…。女性職員の長女が、胸の内を語りました。

  「恨まれるような人でもないし、誰にでも優しい。なんでお母さんがこんなことになってるんやろう、っていうのが強かったですね」
 この女性の母、榊真希子さん(当時68歳)はおととし11月、大阪市平野区の老人ホームで1人で夜勤中に入居者の男(当時72歳)に金づちで殴られて、殺害されました。男は直後に、7階の自室から飛び降り、自殺しました。自他ともに認める「世話好き」な性格だったという、真希子さん。
 「介護の仕事も、接する入居者の人を家族と思っていて、自分とか自分の周りの人がされて嫌なことはしないように気をつけるといっていました」 
 これは、雷が鳴ったある日、真希子さんから長女に送られたラインです。
「夜中、雷怖かったね」「ちょうど巡回時に、無茶苦茶怖かったけど、入居者の方が怖がってたから、怖いくせに、強がって見せた」
 事件の約2週間前、男が職員の言葉に怒り、イスを蹴り飛ばして職員に当てる暴行事件が起きていました。さらに、真希子さんが殺害されるわずか3日前。職員間で共有されていたノートに記されていたのは、別の入居者とのトラブルでした。
・「20時50分頃、A様がお風呂において扉を開けたことに激怒し、殴る蹴るの暴行行為あり。A様は唇から出血されていました」
 「女性で止められないから、施設内の別の男性がきてやっと止められたという風に聞いたので」「じゃあもし母が勤務中に男が暴れたとしても、止められないというのはわかっていたんじゃないのかな」
 事件後、何度も施設に足を運んだという長女。真希子さんが殺害された1階の事務室には、内鍵がなく、誰でも開けて入れるようになっていたことに気付いたといいます。もし、ほかに職員がいたら。事務室に、内鍵があったら。事件は、未然に防げたのではないかーー。
 長女ら遺族は2日、施設側に対し約3900万円の損害賠償を求め、提訴しました。訴状では、施設側が男の危険性を認識しながら、十分な安全対策を取っていなかったと指摘しています。代理人弁護士は、提訴前の取材に、「事件の中身については第三者にお話することはできません」としています。
 事件の2週間ほど前、突然「指輪がほしい」と言い始めたという真希子さん。その希望を叶えることはできませんでした。今、長女の指には、真希子さんの遺灰が埋められた指輪がはめられています。
 (Q.母にかけたい言葉は?)「声をかけるとかを考えると、また悲しくなる。普通に会いたいし、声が聞きたいな」

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