<桜島警戒レベル4>不安抱え避難 ホテルにキャンセル殺到
毎日新聞 8月15日(土)21時38分配信

 気象庁は15日、鹿児島市の桜島で大規模なマグマ噴火が発生する可能性が非常に高まっているとして、噴火警戒レベルを現状の3(入山規制)から4(避難準備)へ引き上げた。鹿児島市は噴火時に噴石が届く危険がある火口から3キロ以内の有村町、古里町、黒神町の計51世帯77人に避難勧告を出した。

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 「避難勧告が発表されました。対象地区の住民は直ちに避難を開始してください」。桜島の南岳山頂火口から3キロ圏内の鹿児島市古里町。宿泊施設が並ぶ温泉街に避難を告げるアナウンスが流れ、消防車両が赤色灯をつけながら巡回していた。午前中に避難準備情報が発令され、既に住民の避難が進んでいるのか、人影も少なく静か。火山灰は降っていなかった。

 勧告の対象内にある「桜島シーサイドホテル」には午前中から予約をキャンセルする電話が殺到した。経営者の岩元幸治さん(42)は「噴火してみるまで分からないが、噴石が心配だ。噴火警戒レベルが4から下がらないと営業できず、この時期は客が多いので打撃だ」とこぼす。ホテルからは桜島がくっきりと見え、噴煙は上げておらず穏やかにさえ感じるほどだった。岩元さんも避難勧告が出るとホテルを後にした。

 町内に住む男性(85)と妻(83)は避難準備情報が発令されると、ヘルメットと着替えなどをリュックに詰め込み、いつでも避難できるようにしていた。妻は「ずっとここに住んでいるが、こんなことは初めて。薬の確認をしている。このまま何もなければいいんだけど」と不安そうに話した。

 島内の避難所となった高齢者福祉センター東桜島(東桜島町)には、避難勧告の対象地域から住民が次々と避難してきた。

 有村町から妻と避難した山下三次郎さん(85)は「昭和21年の噴火の時は溶岩が家のそばに来るまで逃げなかった。今回は消防隊員に促され、救急車で避難した。口永良部(くちのえらぶ)島のように避難が長くなったら大変だと思い、血圧の薬を1カ月分持ってきた。年寄りだから長くいたくない」。同町の山下ミツヱさん(91)も「夫の入院先に行き、帰宅すると消防の人が来て『避難準備をして』と言われ驚いた。足が悪く、心臓も悪いから心配ばかりです」と話した。【杣谷健太、菅野蘭】この動画は YouTube 動画エディタ(http://www.youtube.com/editor)で作成しました

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