福岡市の大型商業施設で2020年、女性客を殺害したなどとされる少年(当時中学生)の裁判員裁判が15日、結審する。被害女性の母親は遺体と対面した際「あまりに傷が深くて、何度も悔しいね、痛かったね」と話しかけたことを明かし厳罰を求めた。

検察側は懲役10年~15年以下の不定期刑を、弁護側は保護処分を求めた。

◆矛盾する少年の証言「自分は更生できない」
被害女性(21)の母親「どんなに悲しい幼少期を過ごしたか知りませんけどやっていいことと悪いことがある。更生できないと思う」

母親が「更生できない」と表現したのは、殺人などの罪で起訴されている少年(17)のことだ。事件当時は15歳の中学生。少年院を転々とし、事件の2日前に仮退院したばかりだった。家庭裁判所から検察庁に逆送され、公開の法廷で裁かれることとなった。少年事件としては異例のことだ。

この少年は、弁護側の質問には「申し訳ない」と反省の意を示す一方、遺族側には「更生はたぶんできない、謝罪がどういうことなのかわからない」と矛盾した証言をした。

◆裁判で娘が置き去りに・・・
21歳の女性はその日、友人と買い物を楽しんでいたショッピングモールで凶行にあった。女子トイレで首などを包丁で何度も刺されて殺害された。

母親「本当に明るい、優しい子でした。人を傷つけない子、思いやりのある子でした」

母親はこれまでの審理について「娘が置き去りにされている気がしてどうしようもない気持ちです。犯人の生い立ちや経歴ばかり問われているような気がして、遺族のことを深く考えてほしいです」と訴えた。

◆焦点は「刑事罰」か「保護処分」か
殺人などの起訴内容に争いはなく、裁判の焦点は少年の処遇に絞られている。検察側は更生の可能性が乏しいとして刑事罰を、弁護側は保護処分を求めている。

検察側は15日「根深い粗暴癖があり、これまでも少年院などの複数の施設に入っても改善がされておらず、更生の可能性は乏しい」と述べ刑事処分にあたる懲役10年~15年の不定期刑を求刑した。

一方、弁護側は「少年には治療や矯正教育が必要」と述べ、保護処分のために家庭裁判所へ移すよう求めた。

裁判は15日結審し、判決は7月25日に言い渡される予定だ。

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