2020年8月、福岡市中央区の大型商業施設で女性客を刺殺したとして、殺人罪などに問われている当時中学生だった少年の裁判員裁判で、福岡地裁は25日、少年に懲役10年から15年の不定期刑を言い渡した。少年に科される刑が懲役刑などの刑事処分か、少年院送致などの保護処分かで争われていた。
起訴状などによると、少年は20年8月、福岡市中央区の「MARKIS(マークイズ)福岡ももち」で、包丁を盗み、1階の女子トイレで客として訪れていた女性(当時21歳)の首などを包丁で何度も刺して殺害したなどとされている。これまでの裁判で、少年は起訴内容を認めていて、争点は少年に科すべき刑だった。
◆検察は不定期刑を求刑
検察側は、少年がこれまでにも保護処分を受けるなどし、少年院や医療少年院など複数の施設に出入りしていたことなどを挙げ、「保護処分による更生の見込みは非常に乏しい」と主張。また、「更生の可能性があっても、事件の重大性などから保護処分は許容されない」などとして、懲役10年以上15年以下の不定期刑を求刑していた。
◆弁護側は家裁移送を求めていた
一方、弁護側は、少年が幼少の頃、家庭内で虐待を受けていたことなどが事件の背景にあるとし、「再犯を防ぐには治療的養育が必要」と主張。治療環境が整った医療少年院での養育が必要として、少年法に基づく家裁への移送を求めていた。
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