京王線の車内で男性が刃物で刺され重体となっている事件。逮捕された24歳の男は、無差別に乗客を襲った疑いがあります。もし、自分が乗っている電車で命の危険を感じるトラブルが起きた時はどうすればいいのでしょうか。

 ハロウィーンの夜、バッドマンの悪役「ジョーカー」の仮装をし、電車でたばこを吸う1人の男。

 殺人未遂の疑いで現行犯逮捕された、服部恭太容疑者です。

 事件発生当時の、緊迫した車内を撮影した動画を見ると、多くの乗客が次々と押し寄せ、行き場を失っているのがわかります。

迫る火の手と黒煙、乗客は窓から脱出

 警報音が鳴り、さらに多くの乗客が逃げてきた、その瞬間。

 「え~!燃えてる燃えてる!」(乗客)

 後方にあたる車両から火の手が上がり、黒煙が立ち込めました。

 電車が駅にさしかかり、減速した次の瞬間、後方でさらに爆発が起き、煙が迫ってきます。

 乗客たちは、後方にいる人たちにも避難を呼びかけながら窓から脱出していきました。

容疑者の男「2人殺せば死刑になると思った」

 服部容疑者は刃物をふりまわして乗客を切りつけた上、液体をまいて車内に火をつけたとみられています。
 
 東京消防庁などによりますと、消防車など31台が出動。17人がけがをしていて、この内70代の男性は右胸を刺され、意識不明の重体です。

 警視庁によると服部容疑者は、容疑を認めていて「人を殺して死刑になりたかった。2人殺せば死刑になると思った」と供述している他、「8月に小田急線で乗客が刃物で切り付けられた事件を参考にした」と話しているということです。

トラブル時、まずは「非常用通報装置」で連絡を

 電車の乗客を無差別に狙った犯行から、一夜。名古屋でも不安の声が。

 「怖いと思うけど、どうしようもないよね。全ての車両に警察官が乗るわけにはいかないしね」(地下鉄利用者・男性)

 「周りをちらちら見たりはする。どういう人が一緒に乗っているか」(地下鉄利用者・女性)

 名古屋市営地下鉄では今回の事件を受け、駅や車内で、警戒を強めています。

 「国交省の方から、鉄道セキュリティーについての文書が出されていて、朝一番に全所属に、不審者・不審物の早期発見に努めるよう指示しております」(名古屋市交通局電車運転課 中村慎吾運転係長)

 実際に地下鉄の“車内”でトラブルが発生し、身の危険を感じた場合、我々はどうすればいいのでしょうか。

 「まずは、入口の非常用通報装置で乗務員に知らせてください。知らせてただかないと、中で何が起こっているか分からないので」「電車が止まるわけではない、乗務員と通話ができる装置です」(中村慎吾運転係長)

 まずは、各車両の出入り口にある非常用の通報装置で乗務員に車内の異常を知らせます。

窓からの避難「トンネル内の場合は危険」

 「知らせた後は、対象から離れて逃げて」(中村慎吾運転係長)

 地下鉄の場合、2分ほどで次の駅に到着するので、到着したら、速やかに車両の外へ避難します。10月31日の京王線では、窓を開けてホームに降りる人の姿もありましたが。

 「窓から外に出ることは考えられるが、トンネル内だと東山線や名城線は高圧電流が流れているので車外に出るのは危険。なので、駅に到着してから出入り口から退避できない時は、窓から出ることも考えられる」(中村慎吾運転係長)

 また、駅のホームで異常を察知した場合は、ホームの中央付近に設置された「緊急電話」で、駅員に異常を知らせます。電話は、駅長室に繋がっていて、受話器を取ればすぐに話すことができます。
 
 そして、各駅の駅長室には、「さすまた」や「防護用のタテ」が設置されていて、警察と連携し定期的な訓練も行われています。また、今回のように、車内で発生した火災に対しては、各車両の座席の下などに消化器が設置されていて、乗客が使えるようになっているということです。

 「今後も、常時訓練をやっていきたいと思いますし、車内で同様な事件が発生したことを想定した訓練も計画している」(中村慎吾運転係長)

近鉄 まずは「通常装置」で連絡を

 他の鉄道会社にも聞きました。近畿日本鉄道では、車内で異常を察知した場合、まずは車内に設置されている通報装置で、乗務員に連絡をしてほしいとのことでした。
 
 SOSと書かれた上の赤いボタンを押すと乗務員に知らせることができます。また、赤いボタンの上にある緑色の「通話」と書かれたランプが点灯すると、乗務員と話すことができます。

 この通報装置は、1つの車両に1か所設置されています。連結の部分についていることが多いそうです。

 名古屋市営地下鉄にもありましたが、近鉄の車両にも消火器が設置されています。1つの車両につき1つ設置されています。進行方向によって前方、後方など設置場所は変わりますが、目につきやすい場所に設置されているとのことです。

ドアからの脱出は「非常用ドアコック」で

 そして、停止した車内から緊急脱出する時、普段乗り降りしている扉を手動で開けることができる装置です。車内の上の方に設置されています。

 この「非常用ドアコック」と書かれた扉を開けると、その中にハンドルがあり、ハンドルを下へ回すとドアが手動で開けられるようになります。

 さらに、緊急停車したところが駅のホームでない場合に備えて、「避難はしご」も列車には用意されています。

 鉄道会社では、普段から緊急時の訓練を行っています。緊急事態が発生した場合は、落ち着いて乗務員の指示に従って行動をしてほしいとしています。 

(11月1日 15:40~放送 メ~テレ『アップ!』より)

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