安倍元総理の銃撃事件を巡り、逮捕された男が事件前日に殺害を示唆する手紙を送っていたとみられることが分かりました。安倍元総理については「苦々しくは思っていましたが、本来の敵ではないのです」などとつづられていました。

 フリーライター・米本和広氏に届いた手紙:「私は『喉から手が出るほど銃が欲しい』と書きましたが、あの時からこれまで、銃の入手に費やして参りました。その様はまるで生活の全てを偽救世主のために投げ打つ統一教会員、方向は真逆でも、よく似たものでもありました」

 これは、安倍元総理が銃撃され殺害された事件で逮捕された山上徹也容疑者(41)が事件直前に書いたとみられる手紙です。宗教団体を批判するブログを運営しているフリーライター・米本和広氏に届いていたことが分かりました。

 手紙には山上容疑者が宗教団体への恨みを募らせるに至った生い立ちがつづられていました。

 フリーライター・米本和広氏に届いた手紙:「私と統一教会の因縁は約30年前に遡ります。母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産…。この経過と共に私の10代は過ぎ去りました。その間の経験は私の一生を歪ませ続けたと言って過言ではありません」

 山上容疑者が恨みを募らせているとみられる世界平和統一家庭連合、旧統一教会は1954年に韓国・ソウルで文鮮明(ムン・ソンミョン)氏が創設。日本では1980年代以降、購入すると運気が上がるとして高額のつぼや印鑑など売る商法で社会問題にもなりました。

 旧統一教会の聖本と数百万円寄付するともらえるという勲章メダルです。

 全国霊感商法対策弁護士連絡会・渡辺博弁護士:「これを統一教会はいくらで信者に買わせるかと言ったら3000万円です。かつ、その信者1人に1冊ではなく、信者1人に4から5冊も売りつける場合があります。5冊と言ったら1億5000万円です」

 聖本を開くと日付が記された文鮮明氏のサインとみられるものもあります。

 フリーライター・米本和広氏に届いた手紙:「世界中の金と女は本来全て自分のものだと疑わず、その現実化に手段も結果も問わない自称現人神」

 文氏は2012年に死去、その後は妻である韓鶴子(ハン・ハクチャ)氏が総裁を務めています。

 山上容疑者はこれまでの供述で…。

 山上容疑者の供述:「2、3年前に愛知に韓総裁が来ていました。その時、火炎瓶を持っていきました。教会のメンバーしか会場に入れなかったので、行くだけで、何もできませんでした」

 フリーライター・米本和広氏に届いた手紙:「文一族を皆殺しにしたくとも、私にはそれが不可能な事は分かっています。現実に可能な範囲として韓鶴子本人、無理なら少なくとも文の血族の一人には死んでもらうつもりでしたが鶴子やその娘が死ねば3男と7男が喜ぶのか或いは統一教会が再び結集するのか、どちらにしても私の目的には沿わないのです」

 そして、安倍元総理については…。

 フリーライター・米本和広氏に届いた手紙:「苦々しくは思っていましたが、安倍は本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません。安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません」

 米本氏が自宅ポストに届いた手紙に気付いたのは事件から5日後の今月13日だったといいます。

 フリーライター・米本和広氏:「安倍さんを撃つのはちゅうちょしていたんだよ。頭が混乱してたんだろ、一回、頭を水で冷やしてやれば良かった。会いたいと言ってくれれば良かった」

 山上容疑者の手紙には自身のSNSとみられるアカウントが記されていました。そこに書かれていたのは、必ずしも安倍元総理を否定するものではありませんでした。

 山上容疑者とみられるツイッター:「安倍政権のやり方が常に正しかったとは全く思わないが、結果として正しかった事を評価できなければその正しさは失われる。安倍晋三という人間の政治手法を否定する為に結果まで否定する必要はない」

 また、山上容疑者が送ったとみられる手紙には7月7日の岡山の消印が押されていました。この日、岡山市内では安倍元総理が参加した演説会があり、市の中心部に設置された防犯カメラの映像には山上容疑者とみられる男が捉えられています。

 山上容疑者:「手荷物検査があったため、演説会場には入らなかった」

 山上容疑者は、この時に持ち込んだ自作の銃について「事件で使ったものとは大きさが異なる別の銃を携帯した」という趣旨の供述をしていることも新たに分かりました。

 警察は、山上容疑者が岡山から手紙を送ったとみて詳しい経緯を調べています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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