第7波に入ったとされる新型コロナの感染拡大。その背景の一つが、置き換わりが加速するオミクロン株のBA.5です。懸念される免疫逃避の特性、そして気になる重症化リスクについての見解とは。

■第7波の到来?東京都では新規感染者の数が5万5000人にも

「感染が急速に拡大し、第7波に入った」「感染状況はこれまでで飛び抜けて一番厳しい」こう警鐘を鳴らす東京都の小池知事と島根県の丸山知事ですが、7月9日の新規感染者の数は東京では9716人。島根では過去最多となる766人。1か月前と比べると、東京は6.4倍、島根は64倍です。

感染拡大の背景の一つにあるのが、オミクロン株のBA.5への置き換わりです。このままのペースが続くと、東京都では「8月3日にはおよそ5万5000人」(7日間平均)にのぼるとの試算まで出ています。そのBA.5の感染力ですが、この冬、第6波を引き起こしたBA.1と比べ、1.4倍強いとされています(京都大学西浦博教授)。

■懸念されるBA.5の免疫逃避の特性感染リスクがさらに高まるか

感染力の強さに加えて、もう一つの特徴が「免疫逃避」の性質が強まっていることです。本来、ワクチンを接種した後は、中和抗体の量が増えて”盾”のようにウイルスから体を守る役目を果たしますが、免疫逃避とは、その中和抗体が十分に働かなくなることをいいます。

アメリカのハーバード大学の研究チームが、ワクチンを3回接種した人の中和抗体価を調べたところ、BA.5に対する抗体の働きが、BA.1に対するものの3分の1にまで低下していると分析。また、これまで感染したことがある人も、中和抗体の働きが活発になりますが、こちらも3分の1になっているといいます。つまり、ワクチンを3回接種した人や、これまで感染したことがある人でもBA.5の場合、感染する可能性が高く、一層の警戒が必要です。

■「発熱」や「せき」などのほか、4人に3人が訴える「けん怠感」

では、BA.5に感染すると、どんな症状が見られるのでしょうか。BA.1の主な症状は、「発熱」や「せき」「のどの痛み」などですがBA.5の場合、これらの症状もあらわれますが「けん怠感」を訴えるケースが最も多くなっています。

■気になるBA.5の重症化リスク専門家の見解は?

一方、重症化のリスクについて、WHOは今のところBA.1と比べて変化しているという証拠はないとしていますが、ちょっと気になるデータがあります。

日本とワクチン接種率が同じぐらいのポルトガルですが、BA.1の流行時期と現在のBA.5を比べると、新規感染者の数がBA.1の時の半分以下であるにもかかわらず、死者の数が、ほとんど変わらないのです。国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授は「BA.5が重症化しやすい可能性は否定できず、十分注意して見なければならない」と指摘しています。

コロナ禍で迎える3度目の夏、今年も感染拡大への警戒が強まっています。

(サンデーモーニング2022年7月10日放送より)

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