街頭演説中に凶弾に倒れた安倍元総理。この銃撃を防ぐことはできなかったのでしょうか。警視総監を務めた人物は「空白の3秒間」の問題点を指摘しています。

 奈良県警本部・鬼塚友章本部長:「今回の警護警備に問題点があったことは否定できないと考えております」

 公衆の面前で要人が凶弾に倒れる…。

 奈良県警トップも認めた警備の問題点とは、どこにあったのでしょうか。

 元警視総監・池田克彦氏:「やはり、選挙の警護かと。選挙の警護は非常に難しいと」

 2008年の北海道洞爺湖サミットで警備を指揮した元警視総監の池田克彦さんは、いくつかの問題点を指摘しました。

 元警視総監・池田克彦氏:「今回の場合は安倍元総理の演説されている360度で、おまけに平場で非常に近いところに人がいるという、かなり警備的には難しい所だったと」

 現場は聴衆からの距離はありましたが、壁などはなく、360度見渡せる場所で、この事実が警護を難しくしていたと話します。

 元警視総監・池田克彦氏:「例えば安倍さんの後ろに街宣車を持って行って後ろをガードするとか、そういうことをしておけば良かったと思います」

 また、指摘するのは1発目の発砲後の対応…。

 安倍元総理の斜め後ろから歩いて近付いた山上徹也容疑者。

 数メートルの距離から2回発砲していますが、1回目と2回目の間には3秒近い間がありました。

 元警視総監・池田克彦氏:「(安倍元総理に対する)1発目が外れているので、すぐに対応を取ればというのがあると思う。銃声が聞こえたら、対象者を身を挺(てい)して守る。防弾コートを被せて身を低くして、どこかに連れていくというのが普通じゃないか」

 迎賓館でのテロ対策訓練の様子では、SPに囲まれながら移動する要人役の男性。発砲音直後に要人の盾となっています。

 元警視総監は「初めの一歩」が出せるかどうかだといいます。

 きっかけとなったのは、30年前に起きた自民党副総裁への発砲事件でした。

 元警視総監・池田克彦氏:「昔、栃木県で金丸副総裁が発砲された時、当時、警察庁、警視庁で当時の警護員を調査したことがある」

 元警視総監の池田克彦さんが話すのは、1992年に起きた当時の金丸信自民党副総裁への狙撃事件。

 金丸氏にけがはなく、その場で犯人は取り押さえられましたが、この後、警護員への調査があったといいます。

 元警視総監・池田克彦氏:「その時の金丸さんの演説をどれだけ覚えているかっていうのを聞いた。実は、金丸さんの演説をよく覚えている人は、最初の一歩が出遅れている。金丸さんの演説で何を言っていたか全然覚えていないという人は非常に早く出た」

 警備員の基本は常に周りに気を配り、いかに早く「一歩」が出せるかだといいます。

 元警視総監・池田克彦氏:「警護対象者を身を挺して守るっていうのが一番の動きであるべきですね」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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