安倍元総理が撃たれて死亡した事件で逮捕された山上徹也容疑者は、「事件の前日に岡山の遊説会場にも行った」と供述していることがわかりました。警備体制に問題はなかったのでしょうか、元埼玉県警の刑事、佐々木成三さんに解説していただきます。

板倉)
安倍元総理は、大和西大寺駅前にあるガードレールの中に立って聴衆に向かって演説を行っていました。そのとき山上容疑者は聴衆とは反対側、安倍元総理の背後にいたということなんです。安倍元総理が演説を行っていた時の様子を捉えた画像があるんですが、スーツ姿で周りを見るような男性が確認できます。この方たちは警察関係者ということでしょうか。

佐々木さん)
警護員です。一人バッグを持っている警護員がいますけども、これは「防弾盾」です。開いて大きくして防弾から守る盾を装備していたということがわかります。もう一人も、聴衆の方向いてますので警護員だと思います。

板倉)
この画像の瞬間でいえば、おそらく安倍元総理の周辺に警護関係者がいたということになります。
ですがその後、山上容疑者は安倍元総理の後ろに近づいてきておよそ5mの距離から発砲したということになります。

高島)
当時の映像を見てみますと、後ろに立っている山上容疑者の様子を見ることができるんですけれど、非常に聴衆に溶け込んでいるといいますか、あまり不審者と判断するのが難しいのかなという雰囲気を感じるんですが。

佐々木さん)
映像を見ますと山上容疑者が遊説がスタートするときに拍手をしたりとか溶け込むようなことはしているので、その時点での不審者だと見抜くというのは難しかったとは感じています。

高島)
これは山上容疑者が意図的に気付かれないように、というための行動でしょうか?

佐々木さん)
最後までこの犯行を完遂するということでこの時点で職務質問されないよう意識はしていたのかもしれません。

高島)
事件を防ぐためにはどの時点での異変に気付かなければいけなかったんでしょうか。

佐々木さん)
この警護については警護員一人一人の直感に任せている部分もあるんです。1人の不審者をどこで見つけるのか、これはやはり撃たれる前に規制されてない所に一人で近づいていった。ここの時点で警護員誰かが排除できるような警護ができなかったのか。(ガードレール横の車道は)道路規制されていないので警護も車の動きは気にしていたと思うんですけども、ガードレールの外では警護ができなかったので見抜くのに時間がかかってしまったのかなと思います。

板倉)
山上容疑者は、横断歩道がないところを渡って来ていますよね。

佐々木さん)
ここは後ろからの攻撃を想定してなかったということは否めないと思います。ただ本当に残念なのが、2発目の銃撃時、防弾盾を持っている警護員が身をていして安倍総理元総理の後ろを警護しているのがわかりますし、銃を持っている容疑者に対して身をていして逮捕している警護員がいたのも事実ですよね。これに関しては5mまでどうして直近まで近づけさせてしまったのか、これが一番僕としては悔やまれる。

高島)
例えば誰か一人でも気付いていれば、無線のようなもので怪しい危ないぞ、というような連携はできる?

佐々木さん)
山上容疑者がいた歩道の方にも警察官がいると思うんです。警護じゃなくても奈良県警の警察官がいたと思います。そこに対して無線で何かおかしなやつがいると情報を共有すれば、1人が無線で気付けばすべてが注視することができますので、そういった無線もなかったということだと思います。

高島)
1発目の後、防弾盾を出して守るような動きがすぐ出来たわけですが、それでも弾が当たってしまった。これはどうしてでしょうか。

佐々木さん)
これに関しては、1つ目の銃弾が当たってないと思うんですね。2つ目の銃弾で安倍元総理に当たっていて、その他に選挙カーにも当たっているとなると、1つの銃弾で散弾のように弾が広がったということがわかります。そうなると、かなり精度が低い銃であって、容疑者も本当に近づかないと当たらないということもわかっていたので、やはりこの直近まで近づけさせたということ、これが今後警護の上で見直しをしていただく。警護対象者を安全に守るには防がなきゃいけなかったことだと思います。

高島)
そういった意味では1発目があって、2発目の前あたりで安倍元総理だけが立っているという状況があると思うが、あの時に安倍総理を倒すような、かばうような行動というのはとるべきなんでしょうか?

佐々木さん)
もちろん、そういった訓練をしているはずです。ただ、この爆発音が果たして拳銃の音ということがSPで一瞬で判断できたのかということ。本来であれば、壇上から引きずり降ろしてまでも安倍元総理を守らなきゃいけない。それが出来なかったということは、直感で守るということができなかったということでありますので、ちょっと難しい警護だったのかなというのは感じてます。ただこれは警察としては要警護対象者を安全に守るということが目的ですので、こういう結果になった以上ぜひ検証はして頂きたいなと思います。

高島)
そして奈良県警によりますと、演説の前日に急いで警護の計画を作成して当日の午前中にその計画書が処理されたといいます。佐々木さん、この流れについてはいかがでしょうか。

佐々木さん)
これは本部長も承認しているということなので、急遽策定が、じゃあ警護体制が足りなかったという言い訳は僕はできないって思っています。事実、人数に関してはある程度の警護が従事してますので、そこに関してはやはりこの警護態勢をどのように配置すればよかったのか。警護計画書の内容の検証が必要なのかなと思っています。

サタデーステーション 7月9日OA
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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