凶行を防ぐことはできたなかったのか？番組では銃撃の瞬間をとらえた映像を検証、そこから見えてきたのは警備体制や身辺警護の限界でした。
屋上で目を光らせるスーツ姿の3人、
視線の先にあるのは、あす投開票を控えた参院選の演説会場です。
さらに会場の入り口には、金属探知機も設置されました。
安倍元総理の銃撃事件を受け、警察庁は、都道府県に対し要人警護の強化を指示、各党党首の遊説先などは物々しい雰囲気に包まれていました。
岸田総理大臣
「民主主義の根幹である選挙が行われている中で起きた卑劣な犯行であり…決して許すことができないと思っています。警備については最善をつくしていたと信じたいと思いますが、それについても今一度しっかり実態を確認する」
安倍元総理の背後に近づき、凶行に及んだ山上容疑者、…「その瞬間」をとらえた映像から浮かび上がってきたのは、警備の「盲点」でした。
奈良県警は、さきほど会見を開き
異例の対応だったことを明らかにしました。
奈良県警の会見「今回の遊説は前日に急に入ったこともあり、
通常、ある程度早めに入ってくるような警護の計画の策定の時間は
異なっておりましたが如何なる状況においても、態勢を
確立してしっかりとした警護警備を行うことは当然でありますので」
演説が始まったのは午前11時29分。
「みなさんこんにちは安倍晋三でございます」
この2分17秒後、最初の発砲音が響きました。続けざまに、もう一発。
別の映像には、鞄を盾に安倍元総理を必死に守ろうとする
警備担当者とみられる人物も映っていました。
なぜ、山上容疑者は、
安倍元総理の背後にまで迫ることができたのでしょうか？
複数の映像や証言をもとにCGで現場を再現しました。
安倍元総理がいたのは車道に挟まれた
ガードレールに囲まれた一角。
山上容疑者とみられる人物は、この位置にいました。
警察庁などによりますと、
当時の安倍元総理の警備は、
奈良県警察本部の警備部参事官をトップとする態勢で、
奈良県警が警備計画を作成したといいます。
現場には奈良県警の警察官のほか、
警視庁警護課のSPもいました。
SPについては1人が専属で配置され、
奈良県警の私服の警察官なども含めると合わせて
数十人の態勢だったといいます。
しかし、防ぐことはできませんでした。
車道に飛び出した山上容疑者は、
そのまま安倍元総理の背後に近づき発砲したのです。
街頭演説が行われたのは、奈良市の近鉄線「大和西大寺駅」の
南口前で周辺には大型商業施設もあります。
実は、安倍元総理、10日ほど前にも
この地を訪れ演説を行っていました。
これは安倍元総理の公式ユーチューブに
投稿された動画です。映像から聴衆とは、
一定の距離が保たれていたことが確認できます。
この時、現場で演説を聞いていた人は
28日の演説を聞いた人は
「安倍元総理のうしろには選挙カーや、黒塗りの車が横向きでとまっていた。人が入れるような状況ではなかった。」
地元の人はー「ロータリーが工事をしている関係で今回の場所で演説していた。今回の場所で選挙活動しているのは見たことがない」
急遽、設定された「場所」だったことも影響したのでしょうか？
要人警護に詳しい警察関係者は、
「当然、360度警戒している」とした上で、こう話します。
「悔やまれるのは選挙カーの上にのってたいたらというのはある。撃たれる表面積が狭まるから」
小さな箱に立っているよりも地上から数メートル高い場所の方が狙いづらいといいます。
しかし、映像からは、車が行きかう様子も確認できることから、交通規制されていなかった事がうかがえます。
選挙カーを止めるスペースもありませんでした。
要人警護に詳しい警察関係者
「映像には映っていないところで安倍元総理の目線とは逆を向いている人は当然いると考えられる。
ただ、何かを投げつけられるなど、基本は前から飛んでくることが多いので、前を向いている人が多い」
山上容疑者が動き始めたのは、演説開始から1分14秒後、
その、わずか1分後、安倍元総理は凶弾に倒れました。
要人警護に詳しい警察関係者
「あそこまで接近されているのは一つ厳しいところ、止められなくても誰かがとめにいっていてもよかった。銃で撃たれる想定の訓練はもちろんしている。
ただ、今回のようにいきなり銃を取り出して撃つのは今までない。多くの訓練は思想をもった人間などが『安倍！』などと叫んで撃つといった想定が多い。
今まで日本にいなかったタイプの襲い方だろうし、やはり、いきなりこういう形は厳しい」
想定しづらかったという、今回の銃撃事件。
安倍元総理の遊説日程が決まったのは、事件前日のことでしたが、推薦団体にファクスで送信したほか、
街宣車でも告知されていました。
山上容疑者「安倍元総理のホームページで演説の日程を調べた」
テレビ朝日社会部 金井誠一郎デスク「最近では、特に選挙関連の演説などでは、政治家側からもなるべく警備を控えてほしいという
話も上がっているとよく聞きます。当然有権者に少しでも多く接したいという政治家側の考え、逆に警察側としてはなるべく1人でも多くの警備体制を敷きたいというところでなかなか調整が難しいと言えるとは思います」
サタデーステーション 7月9日OA
[テレ朝ｎｅｗｓ] https://news.tv-asahi.co.jp
powered by Auto Youtube Summarize
