大阪府富田林市で2歳の女の子が自宅に放置され熱中症で死亡した事件。子どもの熱中症の危険性について、現役医師に聞きました。また、行政の対応に問題はなかったのか、元児童相談所の所長に聞きました。
6月29日、大阪府富田林市の集合住宅の一室で小野優陽ちゃん(2)が死亡しているのが見つかりました。警察は6月30日、ベビーサークルの中に入れた優陽ちゃんを約11時間放置したとして、祖母の小野真由美容疑者(46)と、同居していた桃田貴徳容疑者(50)を保護責任者遺棄の疑いで逮捕しました。
小野容疑者らは優陽ちゃんと2人の息子(5・15)との5人暮らしで、捜査関係者によりますと、事件当日、小野容疑者らは優陽ちゃんを1人残して5歳の息子とユニバーサル・スタジオ・ジャパンに出かけていたということです。
取り調べに対して小野容疑者らは「育児にストレスがあった」「過去にも数回1人にすることがあった」と話しているということです。また、小野容疑者らは「エアコンを28℃に設定し、扇風機を回していた」と話す一方で「外出する際に窓を開けた」と話しているということです。
司法解剖の結果、優陽ちゃんの死因は脱水による熱中症で、近くに水はなかったといいます。これについて熱中症に詳しい医師は、次のように話しました。
(熱中症の専門家 兵庫医科大学 服部益治特別招聘教授)
「11時間、水分をとらなかったら体は脱水になりますので、(子どもには)どんなに間をあけても2時間に1回は(水分を)100ccぐらいを飲ませないといけない。こまめな水分補給(が必要)。11時間でいったら少なくとも5回、(水を)計500cc飲めるような状態にしておかないと熱中症を避けられない」
なぜ、優陽ちゃんは両親ではなく祖母らと暮らしていたのか。警察などによりますと、2020年1月、優陽ちゃんの目の前で父親から母親に対する暴力行為があり、これを警察が優陽ちゃんに対する「心理的虐待」と判断。祖母にあたる小野容疑者らとの生活が始まりました。しかし、この5か月後の2020年6月には、優陽ちゃんが入浴中に溺れて一時意識不明となる事態が起きていたといいます。さらに、小野容疑者は去年6月、「送迎が大変になった」という理由で優陽ちゃんが保育園に通うのをやめさせていました。
元児童相談所所長の津崎哲郎さんに話を聞きました。
(児童虐待防止協会 津崎哲郎理事長)
「送り迎えが困難ということは、保護者が働いておられるということですよね。その間放置されていることが容易に想像つきますから、放置されている状態が許容の範囲なのか、日常的に許容の範囲を超えているのか、その判断を本来はすぐにしないといけないのに、そのチェックが入っていないということが行政の支援としては残念」
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