電力の安定供給をさらに脅かす事態が起きました。ロシアのプーチン大統領は、日本企業が出資する天然ガスプロジェクト「サハリン2」の運営をロシアの会社に引き渡すと命じる大統領令に署名しました。
ロシア極東のサハリン。ここで「サハリン2」と呼ばれる石油とLNG＝天然ガスの開発が行われています。日本の商社も出資し、LNGの多くが日本へ輸出されています。
そのサハリン2をめぐり、プーチン大統領は・・・
「非友好的かつ国際法に反する行為に関連し、ロシアの国益を守る」
サハリン2の事業主体をロシアが新たに作る会社に引き渡す大統領令に署名したのです。
岸田総理は・・・
岸田総理
「この契約内容がどのようなものを求められることになるのか、これについて注視をしなければならない」
大統領令では、許可をもらえば日本企業の権益は維持できるとも書かれていますが、先行きは不透明です。
ただ、専門家は、日本の電力需給に確実に影響を与えると話します。
日本エネルギー経済研究所 橋本裕研究主幹
「（国内全体で）発電用において30％～40％くらいをLNGが供給している。電力供給を脅かすような事態につながりかねない。非常に重大な時期に重大な問題が起きた」
国内全体のLNG輸入量のおよそ9%はロシア産。距離的に近いサハリン産はLNGの安定調達の要だといいます。また、電気代やガス代のさらなる値上げは避けられないと話します。
日本エネルギー経済研究所 橋本裕研究主幹
「（日本）国民がエネルギーに関する関心が高まっているタイミングで、こういう事態を起こせばインパクト大きいということは想像しているのでは」
電力不足を日本人が実感している今を狙った可能性も否定できないと話します。
エネルギー制裁を武器に欧米に続いて日本を標的にするロシア。日本は石油プロジェクトのサハリン1でも権益を持っていて、今後もさらに揺さぶりをかけてくるおそれも出ています。
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