孫を手に抱いて優しそうに笑うこの女性、三田昌子さん(事故当時64)です。神社仏閣巡りが趣味で、旅行好きな活発な女性でした。
しかし、去年12月13日午前4時ごろ、昌子さんが運転する車がインターチェンジの分岐点にあるガードレールに正面衝突し、車は大破。
昌子さんと同乗していた女性1人が亡くなり、2人が重軽傷を負いました。
4人は山梨方面へ寺巡りに行く途中だったといいます。ドライブレコーダーは付いておらず、当初は単独事故だと考えられていましたが・・・。
遺族・三田静雄さん:「普段から運転し慣れているものですから、うちの女房の運転は危ないとかではなく、一番安心できると言っていたくらいの運転だった」
昌子さんの夫・静雄さんは分岐点のガードレールに衝突したという状況に違和感を持ったといいます。
事故から1週間後、静雄さんら遺族は同乗者の1人と面会しました。そこで語られたのは、初めて聞く事故直前の出来事でした。
同乗していた女性:「(高速に)乗ってすぐだったのでそんなにスピードも出ていなくて、私たちの車が走行車線を走っててその車が少し前に走ってたんです。急に中に入ってきて、皆が『あー危ない!おいおいおいおい!何!?』って。よけるとかブレーキを踏むとかそんな感じではなくて、何でそこで入ってくるの?ライトもついてるし、見えないってことはないと思うんですよね」
同乗者の女性によりますと、追い越し車線を走る車が急な車線変更をして幅寄せをしてきたことが事故を引き起こしたというのです。
同乗していた女性:「これから老後に向けて良いお友達ができたと思っていた。これから、これからだったんですよ。私は三田さんの運転で助けられたんだと思います」
実際に三田さんらが通った道を走ってみました。太田藪塚インターチェンジから高速に乗って約5キロ走ると、事故現場の伊勢崎インターチェンジが見えてきました。
仮に時速80キロで走ったとして、高速に乗ってからわずか5分足らずで事故にあったことになります。
同乗者の女性によりますと、車はしばらく並走した後に突然、車線変更をしてきたと言い、気付いた時には目の前にガードレールがあったと記憶をたどります。
さらに女性は、その車の特徴を鮮明に覚えていました。
同乗していた女性:「珍しい車だった。クリーム色に緑の線、横に中間あたりに」
遺族は、その車の運転手に名乗り出てほしいと訴えます。
遺族・三田静雄さん:「その車がなければうちの女房たちも『行ってきます』と朝出て『ただいま』って帰ってこられたはず。それが無言の帰宅になっちゃった。私たちも残された者も気持ちの持っていくところがないんです。亡くなっただけで、何の理由もないみたいな形で亡くなっちゃってる感じなんで」
警察は現在、「過失運転致死傷」や「あおり運転」などすべての可能性を視野に捜査を進めているといいます。
ただ、専門家は今回のように車体が接触していない事故の難しさを指摘します。
元宮城県警交通警察官(株)日本交通事故調査機構・佐々木尋貴代表取締役:「事故の認識がない人間に救護しろと求められない。高速道路で車がぶつかれば当然、そこで事故が起きるので事故の認識があるでしょと言えるが、非接触事故だと難しいのは、衝撃や音は運転手のなかでは感じないので、幅寄せの後、目的地までずっと走行していったとなると、今の法律ではひき逃げとして処罰することはできない」
それでも遺族にとって、この車の存在が一縷(いちる)の望みです。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp
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