大阪の繁華街、北新地にあるビルで火災があり、これまでに20人以上が死亡、そして7人の心肺停止が新たに確認されています。

 割れた窓から吹き出す煙。炎も見えます。

 17日朝、北新地の繁華街。

 雑居ビルが密集するエリアにあるビルの心療内科が入るクリニックで火事があり、男性17人、女性11人の合わせて28人が負傷し、その後、7人が心肺停止、少なくとも20人が死亡しました。

 火災の後、大きな情報が入ってきました。捜査関係者によりますと、警察は放火の容疑で捜査を開始しました。火災は放火によるものだった可能性が浮上したのです。

 捜査関係者への取材によりますと、4階のクリニックに不審な60歳くらいの男がいて、その男が持っていた袋から液体が出た後、持っていた袋のようなものを蹴り飛ばし、それが部屋のストーブに引火して燃え上がったと目撃者が話していることも分かっています。

 4階には心療内科が入るクリニックがありました。

 ホームページを見ると、「お仕事帰りに疲れた気分を少しでも癒して頂けるよう、落ち着いた空間や内装にしております」とあります。

 このクリニックの中に火災当時、患者やスタッフなど20人近くの人がいたとみられるのです。

 近くに住む人:「実は私クリニックに受診したことがある。私は不眠症の治療で。詰めて並べば、20人入らないこともないかなぐらいの大きさ」「(Q.燃えるような機器は?)普通の病院だったし、燃えそうなもので気にとまったものはなかった」

 この診療内科を受診したことがある人によりますと、入り口から入ってすぐの所に待合室があるといいます。

 通路沿いにいくつかの部屋が細かく分かれて並んでいて、患者はそこで診察を受けるということです。

 火災を目撃した人:「何か人気あるらしいんですよ。精神科かなんかで。コロナだから(間隔をとって)下で並んでいるくらいらしい」

 コロナ禍で間隔をとって並ぶとはいえ、ビルの外にまで列ができるほどの人気の心療内科に起こった火災。

 一体、このビルの中で何があったのでしょうか。

 通報の10分前、すでに煙は出火した4階の上の階からも出ていました。

 火災の119番通報は午前10時20分ごろ、「4階が燃えています」というものでした。

 火災を目撃した人:「午前10時20分ぐらい。煙が出ていてみたいな感じですね。最初見た時、結構バーッてなっていましたよ。(煙は)黒、黒です。最初黒で、途中から白に変わっていましたね」

 向かいのビルにいた人は、火災当時の異変をこう話します。

 向かいのビルで働いていた人:「会社で全員、仕事をしていた時に一斉にパソコンが落ちて、待機して下さいということでずっと待機していたが、さっき信号がやっとつきました。出てきて向かいに渡ろうかなと思ったんですけど、信号も全然ついていなかったので・・・」

 現場周辺は火災によるものでしょうか、停電したといいます。

 向かいのビルで働いていた人:「出火してからその後に停電。いきなり電気が消えた。パチッと。電話もファクスもWi-Fiもつながらないという状態になった」

 そして、救急車が次から次へと駆け付けてきたといいます。消防車など80台が出動しました。

 目撃者:「6階の窓から女性が顔を出して、助けてほしそうな感じで下の消防車を見ている光景が見えました」

 目撃者によりますと、助けを呼ぶ女性に現場は、とにかく助かることを祈るような雰囲気になったといいます。

 目撃者:「顔までは見えていないんですけど、ずっと外の空気を吸っている感じで、必死ですよね。6階の上から煙が出ていたので中は結構、充満していたかな」

 向いのビルで働いていた人:「担架で運ばれている人が何人もいたと、上の窓から見ていた人が言っていた」

 火は約30分でほぼ消し止められましたが、4階の25平方メートルほどが燃えました。

 建物に外階段は見当たりません。

 ビルの所有者によりますと、エレベーターと階段は一つずつ、出入り口は入り口と裏口の2つです。

 ビル全体にガスが通ってないので火元はなく、「火事はあるはずがない」と話します。

 ビルに入ったことがある人:「非常階段がないでしょうね、多分。階段の所までわりと火が回りやすいんでしょ。通路まで。通路からエレベーターホールまで」

 大阪消防局によりますと、火事に巻き込まれた28人のうち、この4階フロアにいたのは、わずか1人を除く27人。残り1人は6階にいた28歳の女性で、中等症です。

 クリニックを受診したことがある人:「エレベーターも狭いので、3、4人ずつ上がっていく。エレベーターはなかなか来ないので、ふさがれたら逃げ場がないですよね」

 捜査員によりますと、このクリニックの出入り口付近が最もよく燃えているということです。そのため患者らが皆部屋の奥に逃げて、逃げられなくなった可能性があるといいます。

 都市のビル火災に詳しい専門家は今回の火災についてこう分析します。

 神戸大学都市安全研究センター・北後明彦教授:「液体を持って放火したのではないかという話があるが、この液体が非常に燃えやすいものであるとすれば、それで一気に広がってしまう。中にいる人がなかなか避難できない。時間的な余裕が少なくなってしまう。あともう一つはこのビルが大変小さいビルであると、面積が小さいビルの場合は、建築基準法上、階段を1つにしても良いという規定がある。それによって階段側からの避難ができなかったら、もう一つの(避難できる)方向がないので逃げ場がない」

 現場近くの病院に搬送された6人については目立った外傷がなく、全員が一酸化炭素中毒の疑いがあるといいます。

 過去にもビルの中で逃げ場を失い多くの犠牲者が出た火災は起きています。

 2001年、東京の東京・新宿歌舞伎町。

 雑居ビルで起きた火災で44人が一酸化炭素中毒などで亡くなりました。ビルの階段に置かれた荷物が避難や救助の妨げとなり、被害の拡大につながったと指摘されています。

 神戸大学都市安全研究センター・北後明彦教授:「狭い所で出口が1カ所しかないところが、雑居ビルの場合はかなりを占めている。そういう形態が危険につながっている。抜本的な対策がなかなか取られてこなかったのが問題」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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