44人が死亡した東京・新宿歌舞伎町のビル火災から、きょうで20年となりました。JNNが入手した当時の捜査資料をもとに現場を再現すると、救助を困難にしたある課題が浮き彫りになりました。

 2001年9月1日未明、新宿・歌舞伎町の雑居ビルで火災が発生、3階の麻雀ゲーム店や4階の飲食店にいた従業員や客など44人が亡くなりました。

 駆け付けた東京消防庁の隊員は惨状を振り返ります。

菊池眞紀夫消防司令長
 「3階は真っ暗でした。中に入ってやっとここにいた、ここにいた。あとの10何人は奥の厨房まで逃げて、山のような形で、涙をこらえて1人ずつホールへ搬送した」

 3階から20人を搬出した直後、隊員たちは思いも寄らない言葉を告げられました。

菊池眞紀夫消防司令長
 「まだ4階に20名ほどいると。聞き直しましたよね。え?」

 4階は3階と全く状況が違ったといいます。

菊池眞紀夫消防司令長
 「全く燃えたあとがない。これ火事現場かって思いました」

 4階では27人が死亡。ほとんどが煙による一酸化炭素中毒でした。

 JNNは当時の捜査資料を入手し、ビルの階段の様子を再現しました。幅70センチの階段に所狭しと荷物やゴミ袋が置かれ、人が通る幅がほとんど無いことがわかります。

川越貴史消防司令
 「当時、階段にモノが置いていなければ、消防隊の着手は間違いなくもっと早かった」

 悲劇を繰り返さないため、東京消防庁はビルに立入検査をおこない、避難階段に荷物を置かないよう日常的に指導しています。

 植田安子さんは火災で最愛の娘2人を失いました。

火災で娘2人を亡くした植田安子さん
 「お姉ちゃんがブルー系が好きで、下の子は明るい色が好きだった。愛は姉御肌、下の子は根明、誰とでもすぐ仲良くなれる子たちだった」

 体が動けるうちに、2人の荷物を少しずつ整理していると言います。

火災で娘2人を亡くした植田安子さん
 「気がついたら20年経ってしまっていた。当時は何で何でうちの子たちが亡くならなくちゃいけないのって。でも、それをぶつけるところがないわけ」

 20年経った今も、出火の詳しい原因はわかっていません。

火災で娘2人を亡くした植田安子さん
 「70の声を聞いたら、あと何十年も生きられるわけない。最後にこの子たちに報告できる形で死ねたらいいなと」

 警視庁は失火と放火の両面で捜査を続けています。(01日13:54)

#遺族 #火災 #歌舞伎町

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